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No.1051

2003.12.5

書籍

ナンバ走り
矢野龍彦/金田伸夫/織田淳太郎 著

光文社新書

http://www.kobunsha.com/

購入先:文教堂書店

700円(新書判・216頁)

古武術の動きを実践する
ひねらず、うねらず、ふんばらない動き。

巨大な鉄球を打ち返すことで編み出した、ふんばって、うねって、ねじりまくる花形満の大リーグボール粉砕打法は結局花形選手の全身の筋肉を破壊してしまいました。やっぱ、無理は禁物だよなあ。
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2003年はランナーズにフラット走法だとか2軸走法の話題が出てたり、200m走でパリで銅メダルを取った末続選手がなんばの走りを取り入れた等の話で、さてなんば走りとはどういうものなのかと思っていたのですが、2003年の12月に書店で名前がそのものずばり「ナンバ走り」という本をみつけました。

本のタイトルはたぶん掴みのために「ナンバ走り」ですが、中身はナンバ走りに関してのみの内容ではなく、古武術のさまざまな動きを各種スポーツにいかに取込むことで競技能力の向上を実現するかということについて、高校バスケットボール部での実践を中心に、イラストや分解写真をこの手の新書にしては多めに利用して解説してあります。わかりやすい写真かどうかは別にして、少なくともなんば走りというものが、がに股で走るモノではないことが良〜く分かりました。

通常運動能力を考えるときに、どうしても筋肉の動きを中心に考えてしまうのですが、この本では骨とその構造、特に骨盤と肩、そして肋骨を理解することで、骨をどう動かすかが動き(運動)の本質であることを解説しています。ランナーにとっては、例えば骨盤が1枚板でなく、3つの骨の集合体であり、左右の腸骨を別々に動かし、前傾し膝を抜くことで重力を利用して走ることの重要性を説いております。竹馬で速く走るような感じだとあります。

読んでみるとなんか分かったような気になるのですが、いざやってみると、こんなんで本当に速く走れるようになるのか、ちょっとなあと思ったのですが、次の日腰の左右が痛くなってきました。これは脊椎からくるぎっくり腰系の痛みではなく、普段使っていなかった腰回りの左右の筋肉が疲労してこってる、または筋肉痛をともなう神経痛って感じの臀部の痛みです。もしかして、このお尻の左右の筋肉を鍛えてやれば左右の骨盤で走る感じが体得できるのでしょうかね。

柔道一直線に始まり、巨人の星、あしたのジョー、タイガーマスク、サインはV、アタックNo.1、エースをねらえなどをリアルタイムに見て育った世代は思考回路中のどこかで、何かを得るためには血のにじむような努力・特訓が必要で、技を得るためには肉体的苦痛を必ず伴うと思い込んでおります。で、筋肉痛なんかでも効いてる気がするわけですなあ。うさぎ跳びとかやってたよなぁ。

小魚の群れが瞬時に反転するように、体中の各部位をばらばらにして体を入れ替える等、うーんまさしく神業的な古典的表現、さすが古武術ですなあ。
内角に抉りこむように打つべし、打つべし、な世界です。


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