インターネットで見つけたランニングクラブの人達と秩父にトレイルランニングに行くことになった。飯能駅でピックアップしてもらい、クラブの人の車で行くことになった。
早起きなんでちょっと早めに6時から駅前で待っていると、おお、非常にありがたい、掲示板に書いてあった「ワンボックスカー」が早めにやってきた。

「どうも〜、初めまして。今日はよろしくお願いしま〜す」

すでに車には他の皆さんが4名乗っていますね。私が最後の参加者だったみたいで、私がよいしょと乗り込むと、挨拶もそこそこに走りだした。

あれ、皆さんまだランニングする格好はしてないね。車だから現地に着いてから着替えるんですかね。それにしてもネットのクラブだからか、なんかオタクっぽい感じの人が多いや。一見ランニングしそうな感じじゃないなあ。
ま、ハードゲイ集団よりはましか。

「今日は天気良くなりそうで良かったですね〜」
初めて会った人とは、天気の話から入るのがいい。無難だよね。
「・・・」
あれ、反応ないよ。ネットだとブログやメッセでけっこうおしゃべりなのに皆さん。それこそ、今日は人生最後の日みたいな顔しちゃってるね。

うーん、なんか変だな。となりの人、顔色悪くて走る風に見えないし、助手席の若い女の子もさっきからず〜っと一人で「じゃがりこ」をザクザクとハムスターみたいに食べ続けてるしなあ。おいおい、なんか不気味だよ、その食べ方。
ふと足元を見ると新品の七輪が。帰りにバーベキューでもするんですかね。新品の練炭の袋もあるや。
鍛練で練炭か、ぷぷぷっ、語呂がいいね。
でも、そういう感じじゃないよ、
やっぱ変だよちょっと。

車はどんどん峠道を登っている。
うっ、これはもしかして乗る車を間違えたかもしれない。
七輪、練炭、秩父の山中って、まさか・・・。
げっ、やっぱ変だ。これってネット心中ってやつじゃないの？
やばいぞ、間違えて大変な車に乗ってしまった。
早く降りなきゃ。
「ちょっと、トイレに行きたいんですけど・・」
そういって車を止めてもらい走って逃げることにした。ああ、良かった地図を持ってきておいて。
でも、ここって何処だあ。助けて〜。
ーーー
その頃、飯能駅で黒いチャンピオンのデイパックを背負った自殺志願者を間違って乗せたことに全然気付いてないランニングおやじ達のワンボックスカーも山のふもとの駐車場に到着。準備運動を開始した。
「すっ、すみません、なんか・・・」
「あ〜、大丈夫。ウォーキング中心だから。そのダンロップのシューズでも大丈夫ですよ。」
「死んだりしないから、平気、平気〜。」
自殺志願者も元気なランニングおやじ達に励まされて、無理やり山道を走って登らされて、生きていることを実感するのでした。
「山は気持ち良いよ〜。くせになるよ〜。」
めでたし、めでたし。