先日マハロさんが借りようとして借りれなかった本です。1986年の出版ですから今から20年前の本です。写真もどことなく時代を感じさせます。
著者の下嶋さんは、東京工業大学工学部教授にして、日本ウルトラランニング登山協会の副会長だった方です。1999年にスイスのマッターホルンで滑落事故に遭い、亡くなられています。
さて、本書は、著者のランニング登山(あるいは快速登山とも表されている)に対する思いのたけを、思いっきり書き記した本です。ですから、かなり著者の感性によるところが多く、それがまたかえって面白くもあります。
Q「疲れて休みたいが、登山者にがんばれと声援された。休んでよいか。」
A「ランナーたるもの人目がある時は、歩いてはならない。人から見えなくなったところで、ひっくり返ればよい。」てな感じ。
精神論的なところは別として、登り方やフォーム、運動生理学的な分析に関しては、下嶋教授登場です。写真にもあるように、工学チックな分析を試みています。富士登山競走のタイムと、平地での1500mの持ちタイムとの関係の相関を分析してみたりと、途中学術論文風になって、僕にとってはこれもまた楽しい。きっと、著者は走りながら、力学的に分析することについて思考していたに違いありません。
コラム風に、実際に走ったコースとタイム、所感などが載っているので、これも参考になります。ネットで調べると、トレイルランナーのバイブルと呼ばれていたりしますね。バイブルと呼ぶほど、重々しくはないけど、とても楽しい本でした。
既に、廃版となっているので、図書館で借りて読んでみて下さい。オススメです。