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No.1071

2004.3.17

書籍

「健康」という病
米山公啓 著

集英社新書

http://shinsho.shueisha.co.jp/

購入先:ブックオフ代々木駅北口店

300円(660円)

走る病気なのか?

マハロ菊池

そこそこ健康なのに絶対的健康を求める不健康さを戒める書。
人はなぜリバウンドしてしまうのか等のダイエットの話やスポーツは本当に健康に良いかなどの内容があります。
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生活習慣病検診では、ほとんどの人に何らかの異常が認められるそうで、私もすこし前までは肝機能が40歳前後の男性として妥当な普通の不健康状態でありました。が、走り始めて2年ですべてが正常値内という異常事態になってしまいました。

もう毎日2箱しっかりと摂取していたハイライトが全然吸えないし、あんなにいっぱい飲んでいた酒も一滴も飲めない状態です。しかも夜はナルコレプシーのように深い眠りに陥り、気がつくと朝5時に目が覚めてしまう早起き習慣病。原因は過度のトレッドミル症と休日のLSD値の上昇にあるようです。このまま放置しておくと心臓や肺が肥大して、安静時心拍数が減少してしまうと、通院中のジムにそっと置いてある走友教の勧誘雑誌「ヤンナーズ」に書いてあった。

「先生、どうすれば元の生活に戻れるんでしょうか・・」
「・・走り病の初期症状ですね。そのうちウルトラ、萩、スパルタスロンとか言い出すと末期症状。取り返しのつかないことになりますよ」

他にもトランスヨーロッパ、アメリカ大陸横断、シルクロードなど非常に危険な病名を知らされ、「なんとか普通のおやじに戻るべく生活習慣を改善しないと」と思い知らされたところで60分間のトレッドミル療法が終了。次はサウナと水風呂3セットの冷感治療だ。

「ふぅ〜、こんなに走って、体に良いわけないよなあ」
「まじ、やばいっしょう」

サウナで20代後半くらいの連中が小さな声で話し合っている。みんな体に悪いとは思っていても止められないんだ。まだ若いのにげっそり体から脂肪がそげ落ちて、逆に大腿四頭筋やハムストリングが異常なほど腫れている。彼らは相当重症だな。ああなる前に抜け出さないと・・・。

私が通院しているジム内には標語が貼られている。
「ホノルルやめますか? それとも人間やめますか?」
そうは思ってもなかなか抜け出せないランニング依存症。じわじわとβ-エンドルフィンという脳内麻薬に能が侵される深刻な病気だ。なんで私ばっかりこんな目にあわなきゃいけないんだろう。健康おたくごっこのしすぎがそもそもの原因だ。興味本位でランニングに手を出したばっかりに困ったことになってしまった。もう一度「健康」ってなんだったかじっくり考えてみないと。

「先生なにか良い薬ないですかね」
「ヴァームとこの本出しときますよ。お大事に。」

こんな薄い本じゃあ、きっと効かないよなあ。でも、何もしないよりはましか。ああ、読んでいたら眠くなってきた。明日は休日なのに、これじゃあぐっすり寝て、また朝5時に起きて朝食前に2時間は走っちゃうじゃないかあ。
ああ、どうしよう。健康すぎる病だ、健康すぎるぞぅ〜。

みなさんもお大事に〜。


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